短劇
久々にこの正月休みにハードカバーの本を買ってたのが読み終わったのでメモ書き。『シンデレラティース』を読んでから好きになった坂木司の『短劇』について。25コくらい話がある短編集で、読みやすかった。
この人が書く人間って、とても魅力的だなぁと思う。それは快い雰囲気の人も、逆に不快に感じる人も、どの人も魅力的。話の中身やバックグラウンドが近未来的だったり非現実だったりする話も多いけど、表現されてる人間はどれもすごく生々しい。その生々しさが魅力的だと感じる理由だと思う。
読んでると「うわ、恐!」、「ほんと気持ち悪い」、「ありえないって」とかそんな感情になったりもする。けど、人間の感情も心も、それに伴う行動だって良くも悪くも常識や理想なんかを超えていくものだから、心のどこかで(…ありえないこともないかな?)って思う部分もあって、矛盾した気持ちが重なると(あぁ〜もう!)ってなる。
以下個人的にすきな話。
- カフェラテのない日
(最後のオチはちょっと肩透かしくらったけど、地下鉄の場面がすごくすき。)
- 迷子
(「こんな私を…」の件に心がギュッとした。「愛されたい」って願う気持ちに胸が痛くなる。)
- ケーキ登場
(色んな人の心の中がメチャクチャに交差。ローソクを吹き消した次の瞬間がすごく気になる!)
- 最後
(「最後の会」の発想がおもしろくていいけど、4人の男にむっちゃ腹立った!…ら、あらら。)
- 恐いのは
(…あんたらだ!と言いたい。こんな爺さん(会話内容からすると爺さんだと思う)ヤダ。)
- 壁
(もしや壁穴の中に人間いたり…とか深読みしすぎた。「ミルナミルナミルナ」って、コワイよー!)
- 物件案内
(1人暮らしするときはぜひこの女性に物件を案内してもらいたい。)
個人的には数編ちょっと「?」な話もあった。非現実的な感じとかブラックな感じがダメな人は微妙かもだけど、静かな恐さを感じたい人とか、人間のグジャグジャしたところもすきな人にはオススメだと思われます。