痛く、深く、甘く
2011年の1月10日。
苦しそうに、懸命に息をしているおばあちゃんに会った。撫でた頬が、あたたかかった。
2011年の1月11日。
おばあちゃんが呼吸をしなくなった。20時10分。
2011年の1月12日。
すぐに会いには行けなくて、仕事に行った。私の気持ちとは関係なく、皆も皆の1日を生きるのに忙しい。
2011年の1月13日。
結局、今日も仕事。途中、色々と投げ出したい気持ちに駆られた。落ち着け、落ち着け。
2011年の1月14日。
に、会いにいく。頬は冷たくなってるだろうし、口も開かないし、目だってつぶったままだろう。でも、会いたい。
時間が経つにつれてチクリと小さく痛んだ傷が勝手に深くなっている。まだ自覚ないはずなのに。なんでかな。
そんな傷に少し膜をはってくれるのは、ほかでもないあの人。
それこそ、なんでかな。
ただ、彼の言葉や声は、ひどく私を落ち着かせた。とても心地よく、甘く伝わる声。