夜市

久々に文庫読みました。同期からの借りモノ。恒川光太郎、初めて読んだし借りて初めて知った。それもそのはず、ホラー書く人なんですね。自ら好んで絶対ホラーなモノは読まないので、オススメされなかったら絶対知らないままだったよ。


怖いのがものすごくニガテだから、「ヤダヤダ読まないよ。」って言ってたけど「怖くないし不思議な話って感じだから読んでみて」っていう言葉を信じて開いてみたら、言葉どおりモロに怖いってかんじではなくてすごく読みやすかった。


『夜市』は主人公の女の子がいないと絶対に成立しない話なんだけど、裕司と弟が過ごしてきた年月とか2人の気持ちがメインで、それを想うとなんだか切ないような、悲しいような、よくわからない気持ちになる。裕司は弟が目の前にいるのに、どうして何も望めなくなっちゃったんだろう。何でもいいから買い物して、一緒に戻って欲しかったな。主人公はあと2回残された夜市に行くんだろか。


2作目の『風の古道』も『夜市』も、普段生活してるごく普通の場所から1歩入ると人間界でない異空間に繋がってるって設定の話。なさそうでありそうな、ありそうでなさそうな感じが入りこみやすくていい。


『風の古道』はレンさんだよ。(えぇー!レンさん、そういうこと?)ってとても驚いてしまった。っていうか母親、何でいつのまにか元の世界で普通に暮らしちゃってんだよ。勝手に自分で古道の世界に入って勝手にレン産んだんだから、一緒に暮らせやー!と少しピントがズレたことを想ったのでした。


2作とも、「主人公」の使い方がおもしろいなと思う。ただの語り手ってわけでもないし。物語のメインを引き出す役割をしてるのが主人公たちなのよね、きっと。


これを機に、ちょっとホラーやミステリーにも手をのばしてみようかしら。