あなたに
会いに行こう、行こうと思いながらも、命日には現実逃避しに行ったりしてました。
今日、ようやっとあなたと再び会うことができました。
車で1時間弱、カーナビでもちゃんと行き先が発見出来ないくらいに小さくて新しい、きれいな西洋風の公園墓地。
まだ新しい、赤茶色の石でできたその石像に、あなたの名前と、あなたが生きた年月が刻まれているのを見て、
なんにも考えられなかったけど、いろいろな気持ちが溢れてくるような感じもしました。
お花を換えて、お線香をたいて、あなたのちょうど正面に対面できるように置かれたベンチに座りながら、
やっと会えた嬉しさと、安堵感と、なかなか来られなかった申し訳ない気持ちと、
やっぱりあなたはこの世からいなくなってしまったんだという現実を再認識した複雑さとで、
なぜだか自然と涙が出ました。
あなたと私の間を、傾きはじめた太陽と、少し冷たくなった金木犀の香りのする風が包んでいることに気づいて、
やっと少しだけ笑うことができました。
あなたが下で眠るその石の上に刻まれたのは、『また会おうね』の文字。
めずらしいね。どんな想いであなたのお父さんとお母さんはこの言葉を選んだんだろう。
1度あなたに会いにきた人が、またここに会いに来るように、
いつかまた、同じ世界であなたに会うことができるように。