春が近づく夜に

シクシク。

ズキズキ。

チクチク。

シンシン。

私の身体に流れる、小さな痛み。



ぐるぐる。

ぐらぐら。

どくどく。

どっどっ。

私の頭のなかに流れる、不愉快な感覚。



なんでこんなもの抱えてんだ。

何したって、おさまりゃしない。

いったいどうしろっていうのさ。



くっつく。

はなれる。

はなれる。

…はなれる。

1歩進んでも、結局3歩は下がる。

埋まるようで埋まらない、溝。



癒えることのないこの痛みを、どこまで持っていこう?

早めに手放す?

本当に嫌になるまで?

それとも、墓場まで?

そう、《嫌》なんだ。この感じ。



あなたというフィルター越しにみえる私は、私がおもう私ではない。

私では、ない。

特殊加工の不思議なフィルターじゃ、結局なんにも見えないよ。



でもきっと、私というフィルター越しにみえるあなたも、あなたがおもうあなたではない。

あなたでは、ないんだろう。

私のボロボロになったフィルターじゃ、あなたを映すことはできないよ。



甘くて、

切なくて、

幸せで、

苦しい。



あなたの瞳に映る私なんて、いなくなってしまえばいい。

私の瞳に、あなたなんて映らなくなってしまえばいい。

…のに、ね。



いくつもの矛盾を抱えながら、今宵もひとつ、夜を越える。