トロムソコラージュ

トロムソコラージュ (新潮文庫)

トロムソコラージュ (新潮文庫)

本を読みたいなあと思うとき。

でも、なんだか物語はあんまり入っていきそうにないなあと感じたとき。

詩を読むといい。

今日はまさにそんな日で。



なんとなく“あー、本読みたい”と思ったけど、どんな話が読みたいとか、誰の作品が…とか浮かばなくて。

本屋に行ったら、本日発売だったらしい谷川俊太郎の詩集の文庫版が目についた。



少し長めの詩が、6つ。

最初の《トロムソコラージュ》は止まらずに次々と言葉が流れていく感じがしたけれど、それ以外は短い物語になったものだった。

いちばん表現がさらりとしているけど、こころにひっかかったのは《詩人の墓》という詩。

詩人と娘のことが描かれた、どこか哀しい詩だった。

娘が哀しくなったわけも、詩人が悲しい顔をするわけも、どちらもわかる気がした。

それがまた、かなしいとも感じた。



江國香織の作品解説を読んで、

“詩は放たれる”という言葉がとても印象的で、すんなりと入ってきた。

うまく言えないけれど、だから詩を読みたくなったり、読むといいって感じるんだと思った。

短い言葉の表現にあるもの。

文章を読むのとは違う感覚で得るもの。

それが心地よく感じるときがある。



放たれた言葉から、たくさんの思考を引き出されるような感じがした。