やさしいじかん

金曜の夜は、年に2回くらいある、だいすきな会だった。

地元なかま、4人組。

うまく言えないけど、独特の心地よい空気が絶妙なのだ。

いつも私を、やさしくしてくれる。

とてもとても、たいせつなじかん。



みんな、酒飲みだ。

でも、悪酔いしない。

静かに、まったり、のんびり。

じかんをかけて、ゆっくり話をしながら飲む。

だから、男2人に女2人だけど、客がしっぽりと飲むおっさんばっかりのしずかな店。

みんな声張らないからね。

若者が多い店だと声聞こえないのよ。



前回飲んだとき、年下の彼氏ができたよってとこだったのに。

もう別れたよって言ったら“あららら”と言われた。

“あららら”って。あは。

いいなー、こういう反応。



もう、私より私がしたい恋愛をわかってるようなひとたちだ。

だから特別慰めたり、はっぱかけたりされない。

ただ聞いてくれて、そのうちでしょって、見守ってくれるかんじ。

なんだか許された気がして、私は私のままなところがあっていいんだよなって、うれしい。



日付が変わってから店をでても、誰も帰ろうとは言わない。

地元で唯一のチェーン店であるカラオケ屋さんにいく。

キャーキャー盛り上がるわけでもない。

“オールしようぜー!!”なんてノリもない。

なのに、4人ともカラオケ屋で眠さと戦いつつもそれぞれの唄をきいたり、一緒にうたう。

酒の余韻を、まどろみながらもたのしんでる。



みんな、それぞれ大きななにかを抱えるくらいには大人になった。

でもそれを、いちいち最初から最後まで話さなくたっていい。

こうして、時間を共有していられると、それだけでも穏やかにいられる。

毎度毎度、“年とってくんだね”って思うけど。

こうやって年を重ねられるなら、しあわせだよ。



次にみんなに会うときは、“彼氏できたよー”って、報告できるかな。

それでもたぶん、“おー”くらいで終わるけど。

しあわせな報告、聞いてね。