いびきとねいき

自分がこんなにも他人とちかくにいようとすることが初めてで。

気づけば、この早く短い時のながれのなかでずいぶんと大きな大きな存在になったもんだ。

ほんとうに、もっとずっと前から一緒にいたような。

彼はわかりにくいようで不思議とわかりやすく、天邪鬼なわたしも彼にかかれば素直らしい。



一緒に過ごす時間も日々も穏やかだけど、確実に強くなる気持ち。

臆病で意地っ張りな自分が、とてつもなく素直な生き物になっていくようで戸惑うし、正直恥ずかしい。

それでも、恥ずかしいと感じられることもしあわせなことなんだろうと思う。

仕事のことをああでもないこうでもないと考える日常もリアルだけど、彼といるどこか非日常的にも思える穏やかな時間も今の私のリアルなんだったとふとあらためて気づいたとき、とても安堵した。



私の耳もとで聴こえるヘンテコな音のいびきに少し心配を覚えたり、うるさいなあと思ったりする。

その音を聴きながら目を閉じて、自分のねいきの音を重ねていく。

それだけで、私のなかでなにかが満たされていく感覚。

この音を発する主を、ずっと離したくないなあと思った。