おくり火
年明けに亡くなったおばあちゃんの新盆。
今日はもう、おくる日。
みんなで集まって、お見送りをした。
きっと最近はあまりやらないのだろうけど、送り火をたいた。
場所が場所だっただけに、ちょっと不思議な感じはしたけど、ちゃんとお見送りはできたかな。
おじいちゃんが、いっしょうけんめい手を合わせていた。
私も静かに、手を合わせた。
もうあれから、半年が過ぎた。
時が経つのは、やっぱり早い。
みんなで集まる時に必ず決まっていたおばあちゃんの席には、今日はおじさんとオカンが座っていた。
おじいちゃんは相変わらず、テレビで相撲と野球を観ていて、
でも耳が前よりさらにとおくなって、
前よりもお酒がよわくなって、
足がおぼつかなくなって、
少しだけやせた。
でも、別れの間際。
車の運転席に座って、開いた窓から手を振ろうとした私の手を握って、
“がんばれよ”
と言ったときの手の厚みやあたたかさ、笑顔は変わらなかった。
がんばるよ、っていう言葉は心の中。
都会にあるオカンの実家から車で約2時間。
運転しながらも、ぼんやりいろいろと考えた。
うん、がんばるさ。
おばあちゃんは、無事にかえれただろうか。
きっと、かえれたよね。