深夜高速

公私共にお世話になった先輩が突然亡くなった。

退職して、あと数ヶ月で1年。

“あの子、疲れちゃったみたいなのよ”

お母さんの言葉が印象的だった。



私が新人で入職してから、1番気にかけてくれる先輩だった。

仕事でもプライベートでも優しく、不器用で、まっすぐすぎるような人だった。

“俺、どうしたらいい?”なんて言って、後輩にダメダメな恋愛相談をしてくる人でもあった。

かと思えば、私が失恋した時に話を聞いてくれる時はお兄ちゃんみたいな人にもなった。

家が同じ方向だったから、近場でおいしいお店を見つけて飲みに行ったりもした。

先輩と最後にごはんに行ったときは、美味しいとんかつ食べたな。

先輩の、史上最高の片想いの相談をされたんだった。

別に、恋愛の話ばっかりしてたわけじゃないのだけど。

旅の話、夢の話、色々話したな。




先輩が昔、“この歌すごくいいんだよ。好きなんだよね”ってカラオケで入れたのに全然歌えなかった、フラカンの深夜高速を聴く。

あれ、職場の皆知らなくてポカンとしてたな。

そのまま私が歌ったら、さらにポカンとされたけど。



生きててよかった

生きててよかった

生きててよかった

そんな夜を探してる



先輩はたぶん、きっと“生きててよかった”を探してた。

探してたものは、見つかったんだろうか。



いこうぜ いこうぜ 全開の胸で

いこうぜ いこうぜ 震わせていこうぜ

もっともっと もっともっと 見たことない場所へ

ずっとずっと ずっとずっと 種をまいていく

全開の胸 全開の声 全開の素手

感じることだけが全て 感じたことが全て



全開で、生きてやる。

私の“生きててよかった”を探し続ける。

先輩、ありがとう。