君を待つだけでなく

苦しいときや、元気が出ないときも。

一緒にいると、いつの間にかむねにつかえてたものがうすれていく。

“大丈夫、大丈夫”

最近の口ぐせ。わたしが言わせてしまっているものなのか、はたまたよくちいさなアクシデントに遭遇する彼がそれをごまかそうとする故なのか。

“あー、またやった”

っていうのが増えるたび、私はおもしろくなってしまうのだけれど。

本人としては実は案外気にしているようであり。



“いつかそのときがくるように、がんばるから待ってて”

と、すこし自信がなさそうに、でもはっきりと言いきった。

思わず笑ってしまう。



君を待つあいだ、私もがんばる。

ただ待つだけでなく、そのときには今よりもっとずっと大きな私でいたいから。

そして、君とずっとこの時間をつないでいきたいから。

いびきとねいき

自分がこんなにも他人とちかくにいようとすることが初めてで。

気づけば、この早く短い時のながれのなかでずいぶんと大きな大きな存在になったもんだ。

ほんとうに、もっとずっと前から一緒にいたような。

彼はわかりにくいようで不思議とわかりやすく、天邪鬼なわたしも彼にかかれば素直らしい。



一緒に過ごす時間も日々も穏やかだけど、確実に強くなる気持ち。

臆病で意地っ張りな自分が、とてつもなく素直な生き物になっていくようで戸惑うし、正直恥ずかしい。

それでも、恥ずかしいと感じられることもしあわせなことなんだろうと思う。

仕事のことをああでもないこうでもないと考える日常もリアルだけど、彼といるどこか非日常的にも思える穏やかな時間も今の私のリアルなんだったとふとあらためて気づいたとき、とても安堵した。



私の耳もとで聴こえるヘンテコな音のいびきに少し心配を覚えたり、うるさいなあと思ったりする。

その音を聴きながら目を閉じて、自分のねいきの音を重ねていく。

それだけで、私のなかでなにかが満たされていく感覚。

この音を発する主を、ずっと離したくないなあと思った。

しくり

お疲れモードが解けない日々。

なんだか最近は、“低め安定”な感じだ。

プライベートでいくら癒された!と思ったとしてもだ。

職場に足を踏み入れたら一気に足元からドロドロしたものに囚われるような感覚になる。



自分の心を占めるのは、仕事のこと。

この先の将来を考えている。

今この状況で職場をかえることは、納得いかない職場の経営体制や上司の無茶ぶりなんかから逃げることになるのだろうか。

でも、私の職って全く納得いかないような環境では成立しない仕事なんじゃないか…とも思う。

来年度のことをふと考えると、おそろしくて仕方がない。



そして、そんな自分の状態を彼に知られるのが嫌だ。

仕事のときは、私は完全に仕事モードなのだ。

実際に私がドクターにしぼられたり、ナースとせめぎあったりしているところも知られてる。

私の職種が、院内でどんな立場にあるのかも。

ギスギスしたところなんて、知られたいわけもない。

最近、仕事中の私は大体目が釣り上がってるか垂れ下がってる。

それも、見られたくない。



あー。

なんかどうすりゃいいんでしょ。

迷うよ。

自分、どうしたいんだろう。

どうなっていきたいんだろう。

潮時ってのはいつ何時か

働く環境が歪みはじめている。

金、金、金。

数、数、数。

スピード、スピード、スピード。

手当り次第に、中途半端にいろんなことに手を出して。

医療を本当に必要とするひとたちのことなんて、考えてるようで何も考えちゃいない。

それに伴い、私たちには無茶苦茶な役割がまわってくる。

責任も負わされる。

仕事だからある程度はやりますけど、そこまでは無理だって。

どこに向かっていきたいのか、全然理解できない。



上層部に言われて、下を動かすだけになった上司。

結局自分は実働的に動くことはないし、何かあっても責任は担当者って…おやおや。

自分で動かないひとの背中みてたって、周りが納得するわけない。

ああ…もうだめか、な。



理想ばかり追い求めても仕方ないけど、こりゃせっかく転職してまでとった資格が泣くわ。

自分の経験値、この職種と今の職場の将来性、理想、現実、云々。

考えれば考えるほど、わからなくなる。

潮時…っていつよ?

たいせつなひとと、たいせつなひとのたいせつなひと

私にとってたいせつなひとがいて。

そのひとを苦しみから開放できたらと思う。

でもきっと私が考える方法では、たいせつなひとのたいせつなひとがさらに苦しみを受けるはめになりかねない。

たぶん、それはあのひとも望まないのだろう。

でも、そうしたらきっと何も変わらないまま、ずっとこのままなのかもしれない。

みんながしあわせになるには、どうしたらいいのか。

わたしに、なにかできるんだろうか。

わたしに、その勇気とちからがあるんだろうか。

9月は1日しか文字をのこさなかった。

いろいろあったよ。9月。

新潟に行って、美しい緑とおもしろいアートに会った。

山梨に行って、工場見学したりワイナリー行ったり、瀧をみたりした。

鎌倉に行って、竹林の庭で抹茶をいただいたり、長谷観音の相変わらずの佇まいに惚れ直したり、夕方から夜になるまで由比ヶ浜でぼーっとしたり。

いろんなひとと、いろんな時間を過ごした。



そして、いろんなことを考えている。

だからなのか、文字におこそうにもこんがらがってこんがらがって、最終的には白く塗りつぶされた状態になっていたり。

日々、いろんなひとと交わっていていろんな感情が湧く。

“ちくしょう”

“いいかげんにして”

“もういやだ”

“そんなのかなしいよ”

“ばかじゃないの?”

“ありがとう”

“ごめんなさい”

“たのしいね”

“だいすき”

すべてが混ざりあって、結局やっぱり白になる。



なにはともあれ、痛いけどやさしい、愛おしい日々。

米の産地へ

新潟でやっている大地の芸術祭へ旅立ちます。

金沢、直島とここ最近すっかり旅好きになった女2人、アートな旅。

きれいな田んぼみながら車で走るのがたのしみだ!

ここ最近、仕事でもやもやしたり学生指導で苦戦したりでちょっとお疲れ気味。

2泊3日、一時だけでも現実的なことは忘れて、ただ純粋にたのしみたい。

よい旅になりますように。

美術手帖 2012年7月号増刊 特集 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2012 公式ガイドブック アートをめぐる旅ガイド

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